第19章 chain 零√
「俺はあいつとは違うっ!! 光もないっ、この手の中にあるのは真っ暗な闇と憎たらしいヴァンパイアの欲望だけだっ! 俺はお前達の望む玖蘭枢のように生きていくことも、そうなることも出来ない! 俺は中途半端だ。お前達と一緒にいる資格なんて……ないんだっ! それでも……っ」
零の手が私の頬を包み込む。彼の顔が目の前にあって、今にも唇が重なってしまいそうで。泣き出してしまいそうな彼の瞳の中に、困惑している私が映り込む。
「残酷な程に……俺は……っ」
零が私の首筋に顔を寄せる。抵抗はしない、そっと彼の身体を抱きしめた。
「……っ」
首に痛みが走る。思わず声が漏れそうになるのを抑えながら、啜られる音だけを耳元で聞いて。私の腰を引き寄せるように、零は抱く。
どうしてこんなにも苦しいんだろう。どうしてこんなにも切ないんだろう。
「零っ……」
名前を呼んでも、手で触れても、抱きしめ合っても。埋まらない何かにいつも、どこかで飢えながら。私達はそれでもその行為をやめることが出来ない。
「……珠紀っ……んっ」
滴る血の濃度で、彼を支配してしまいたい。何処にも行かないでほしい。
私の傍に……居てほしい。