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Bloody Signal

第19章 chain 零√



「痛むかい?」

「……いえ、もう痛くありません」

「そうかい。こんなことを……君に教えるつもりはなかったけど、気が変わったよ」

「玖蘭さん……?」

「彼を救うとまではいかないけれど、君にも出来る彼の渇きを抑える唯一の方法がある。けれどそれをするということは、錐生君に嫌われる可能性はあるし逆に彼を傷つけることに繋がるかもしれない。どうする?」

「それでも……もし、その方法しかないのなら。知りたいですっ」


 玖蘭さんは少し微笑んで「羨ましい」と呟いた。何がそんなに羨ましいのか、私にはわからなくて……首を傾げた。


「珠紀、君の血を錐生君に与えればいい。彼は血液錠剤を受け付けないのだろう? なら直接血を与えてやるのが一番の薬になるだろう。でも、彼は自分の吸血行動に関して深い罪悪感を持っているはずだ。いいのかい?」

「……零に嫌われたとしても、それで彼が……少しでも楽に生きていけるなら」


 そんなことを本人の前で言ったとしたら、きっと物凄く怒るんだろうな。容易に想像できる。


「君がそう決めたのなら、僕から教えてあげられることはそれくらいかな。とても残念だよ、君がそこまで錐生君を大切にしていることが」

「そんなに残念ですか?」


 まさか玖蘭さんがそこまで落胆するとは思ってなかったため、私は少し拍子抜けしていた。だって玖蘭さんは何があってもあまり動揺しなさそうだし、特に優姫以外の人には興味も示さない人だと思っていたから。

 少しでも気にかけてもらえて、何故か嬉しい。

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