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Bloody Signal

第19章 chain 零√



「私、零が大切です。とても、大事です」


 今の彼に、私は何が出来るのかな? 何をしてあげられるのかな。あげられるものがあるなら、彼に全部あげてしまいたい。彼が見ている世界を、いっそのこと全部全部変えてしまいたい。

 消えない様に、知らない内に彼がどこかに行ってしまわないように。

 この世界にいたいと。思って、ほしくて。


 ああ、でもそれはエゴだね。


「守りたいと思うんです。でも、私には彼の守り方なんてわかりません。傍にいてあげることしか、思いつかないんです」


 私は目の前にいる玖蘭さんの方へと、真っ直ぐ顔を上げた。


「次は私が彼を助けたいんです。私の何を犠牲にしても……っ」


 玖蘭さんは深く息を吐くと、小さく呟き始めた。


「どうして……」

「え?」

「どうして君は、そこまで錐生君のために必死になれるのかな。助けてあげたいだなんて、どうして思えるのか。彼はもう人間じゃないんだよ? 一緒にいれば、いずれレベルEに堕ちた彼に殺されるかもしれない」

「それでも……! 零は零です!! 私の大切な……人なんです」


 それ以上の言葉が出ないくらい。それくらい、私は彼が……大切なんだ。


「そう……最早何を言っても、聞きそうにないね」


 玖蘭さんは私の頭を優しく撫でると、彼の手は私の絆創膏の辺りへと落ちていく。思わずぴくりと反応してしまった。

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