第19章 chain 零√
「ごめんね、僕が勝手にそう思っただけだから気にしなくていいよ。話は以上だよ。これからお茶でもどう?」
「私、行かなくてはいけないところがあるので。今日は遠慮させて頂きます」
「つれないね」
「いえいえ、優姫でも連れてまた遊びに来ます」
「わかったよ。その日が来るのを楽しみに待っているよ」
玖蘭さんに軽く挨拶を済ませて、部屋を出る。
一気に緊張はほぐれ、少しだけ肩の荷が下りた気がした。うーん、それは気のせいかな?
「話は終わったのか?」
「英さん? 待っていてくれたんですか?」
「そんなわけないだろうっ! な、なんだ……その……心配とかもしてないからな!? き、気になっただけだ! そう、気になっただけ」
「ふふっ、そうですか」
可愛い人だなぁ。私がくすくす笑っていると、ちょっとだけ英さんは拗ねたようにむっとした。子供みたいな人。でも見ていて飽きない。
「まぁ、いいよ。その様子なら大丈夫だったみたいだし」
「そうみたいですね。どうもお騒がせしました」
「はいはい。途中まで送ろうか?」
「いいんですか? えっと、門のところまでお願いできますか? 迷子になりたくないので」
「僕はお前の道案内かよ」
そう言いながらも送ってくれるところが、この人の優しいところだと思う。そういえば、フラワーギフトデイの時も、お世話になった気がする。夜間部の人への印象が、どんどん変わっていくような。でもそれはそれでいいのかな? ちゃんと夜間部の人達のことを、見ているって証拠だもんね。