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Bloody Signal

第17章 mirage 零√



「えっと……零、最近風紀委員の仕事に顔を出してないけど、何かあったの?」

「そうなの……?」

「……」


 全然知らなかった。学校では確かに度々休むことが増えたなと思っていたけど、まさか風紀委員もだとは思わなかった。なんだかんだで真面目に風紀委員の仕事をこなしていた零なだけに、優姫も心配なのかもしれない。


「お前には関係ないだろう」

「関係なくないよっ! もう少し、私の事……頼ってほしいよ、零」


 零に近付く優姫に少しだけ彼が一歩下がった気がした。ちらりと私を一瞥した零の顔は、かつてない程に青ざめていて私は目を見開いた。


「零……っ」

「来るな珠紀っ」

「……きゃっ」

「ちょっと、零!?」


 私を壁へと押し退ける。壁に背をぶつけた衝撃で、床に私は崩れ落ちた。うっ、意外と痛い。それに驚いた優姫が零の肩を掴んだ途端……。


 零が優姫を後ろから捕まえて、彼女の顎を掴む。

 私は見てしまった……。彼の瞳が、赤く染まっているのを。


「ぜ、零……?」


 優姫の声が響く。その時――。


「っ……!」

「んっ……んんっ」


 優姫の首に零は牙を立てた。充満する血の香り、喉を鳴らす奇妙な音。目の前で起きていることが理解できない、どういうことなの? 零は今……何をしているの?


「や、やめてっ!!」


 優姫が抵抗を見せ、押し退けたことで零は優姫から離れる。けれどその異常な光景に、私も優姫も言葉を失う。

 辛うじて私は、僅かに言葉を発する。
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