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Bloody Signal

第17章 mirage 零√



「珠紀、珠紀……俺は……俺は一体、何だ……ッ」


 その手に握られたタブレット。

 まるでそれに縛られているかのように、零は悲痛な声を小さく漏らすだけ。その声を珠紀が聞くことはない。けれど零はそれでいいとで言うように、息を吐いて呟いた。


「お前だけは、俺の本性を知らないでいてほしい」


 遠くて近い、君に贈る。





 ◆





 次に目が覚めた時には、零はいなかった。あれ? と思って起き上れば、部屋の奥から丼を持って零がひょろっと現れる。


「調子はどうだ?」

「うん、いい感じかも。ベッド占領しちゃってごめんね、やることなくてつまらなかったでしょ?」

「そうでもないぞ。お前の寝顔を眺めてみたり、それに関する絵日記を書いてみたりだな……」

「悪趣味!」

「んなことするわけないだろ。ん、腹減ってるだろ?」

「……親子丼?」


 丼を受け取った私は、ふわふわの卵に既に瞳が釘付けだ。零の料理は自慢じゃないけど、本当に美味しい! でも本人は作るのは好きだが毎日は面倒くさい、と言って最近ではあまり作ってくれない。いや、そうは言いながらもきっと優姫には作ってあげているのかもしれない。

 そこまで考えたところで零は「早く食え」と急かすので、仕方なくスプーンで掬ってぱくりと一口。

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