• テキストサイズ

Bloody Signal

第2章 sleep



「……おはよ。早いじゃねぇか」

「今日はね、私が優姫を起こしたんだよ」

「は? 冗談っ」


 零はそう言って鼻で笑った。

 その気持ちはわかる。毎日優姫に起こしてもらって、やっと遅刻せずに通えるようになったから。そんな私が早起きをして、優姫を起こして登校してきたなんて私でも嘘だと思うもん。でも残念、本当なんだから。


「嘘だと思うなら優姫に聞いてみたらいいよ」

「聞かねぇよ……めんどくせぇ。あ、そういえば今日俺ら日直だから。日誌は宜しく」

「……黒板消し宜しく」


 本鈴が鳴り響く。私がどんなに早起きしようと、授業の内容もクラスの空気も何一つ変わらない。先生の理解不能な公式を右から左に受け流して、呆然と零を見た。

 あ……寝てる。


「ねぇねぇ、零」


 小さな声で話しかけてみる。これなら先生にもばれない。

 一度零はこちらをちらりと見ると、すぐにまた目を閉じた。


「零ってば」


 消しゴムを投げつけてみる。お、当たった。目を開けた……と思ったらこっちに向かって零が消しゴムを構えている。


「なんだよ、当てられたいのかよ」

「違うよ。ねぇ、零はフラワーギフトデイ。誰かに花を贈るの?」

「あ? 知らねぇ」


 零は普通に私に消しゴムを渡して、また寝入ってしまう。こんなに授業中寝ているのに、彼が補習にほぼ参加したことがないだなんて、誰が想像できるだろうか。

 それに比べて優姫は……。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp