第2章 sleep
フラワーギフトデイ。年に一度、普通科と夜間部の交流会を兼ねて開かれるちょっとしたイベント。大きなパーティー会場を使っての舞踏会のようなイベント。
男女関係なく花を贈り、そしてその相手と踊るのが伝統。
特に女子生徒には人気で、普通科が夜間部に花を贈る光景の方が多く目にするとか。なんでそこまで夜間部は人気なのかな……。
うーん、私にはその良さがあまりわからないかも。
「もしかして、珠紀は零に贈るの? 一番仲良さそうだもんね」
「そうかな……まぁ、確かにクラスの中ではそうなのかも」
というよりは、私はあまりクラスの中で仲良い人がいない。
教室の扉を開けて、中に入ればいつもそれを実感する。
『時東さん来たよ……』
『あの人、病気だよね。急に倒れたりするし』
『なんか気持ち悪いよね。学校来なければいいのに』
「……」
聞こえてくる声、数人の女子生徒は私をよく思っていない。それはナルコレプシーで何度かクラスメイトの前で倒れてしまって、それから気味悪がられているから。
急に意識失って倒れ込んで、なのに寝息立ててるなんてそりゃ気持ち悪いよね……。
「珠紀、気にする必要ないからね」
「うん。大丈夫」
そうして自分の席につけば、隣の席の零がじろりと私を物珍しそうに見つめる。