• テキストサイズ

Bloody Signal

第16章 tragic 零√



「なぁに? 僕の顔をじろじろ見て」

「……見てないです」

「ははん? さてはこの僕に惚れたな! いやぁ、美しいって罪だよなぁ」

「あの……」

「僕の名前か? 仕方ないなぁ、今回は特別に教えてやろう。僕の名前は藍堂英! 英って特別に呼んでいいぞ」

「……珠紀、です」

「……反応薄いな、お前」


 英……さんと言えば、確かよく玖蘭さんと一緒にいた……ような気がするけど思い出せません残念。反応が薄いと言われても、この人は私にどんな奇天烈な反応を求めていたのだろう。……別に奇天烈でなくともいいのかもしれないけど。


「お前、黒主優姫とよく一緒にいる奴だろ」

「よく知ってますね」

「黒主を見かける時、セットでいつもお前がいるからな。そりゃ嫌でも覚えるだろ」

「嫌々覚えさせて悪かったですね」

「別に嫌々覚えたとは言ってないだろ」

「でも嫌でも……と言いました」

「お前は子供か」


 しかめっ面をする私に、英さんは面倒くさそうに「わかったわかった」とテーブルから一つ、シュークリームを掴む。


「んっ、あーんしろ」

「……嫌がらせですか?」

「いいからしろっ!」

「……あーん」


 同時にシュークリームを食べさせられる。どうして私はいきなり出会った、しかも初対面の異性にこのような行為をさせられているのだろう。強要? いけないぞ、そういうのは。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp