第15章 forever 枢√
「最後の最後に、君って子は……いけない子だね」
「ごめんなさい……?」
「疑問形かよ」
「煩いよ、零」
「珠紀が馬鹿なのがいけな……いてっ」
「もうっ!」
ぽかぽかと零を殴っておく。こうやって彼と口喧嘩もどきをするのも、今日で最後なのかと思うと少しだけ寂しいような気もする。
「枢、本当に珠紀ちゃんと行くの? 別に卒業までいればいいのに」
「そういうわけにも行かないよ。僕がいなくても、上手くやれるね?」
「任せてよ。僕がいる限り、夜間部は安泰だから」
「枢先輩がいなくなって、すごーく夜間部の事は心配ですけど! 私も零もいます。安心して行って下さいね」
「けっ……珠紀は置いていけ」
「零……!」
優姫に怒られている零を見るのも、本当に久しぶりかもしれない。私がくすくすと笑っていると、理事長が私の前にやってくる。
「身体には気を付けてね。あと、ちゃんと彼の言うことを聞くんだよ。君は……珠紀はおっちょこちょいだから」
「わかっています。今日まで私を育ててくれて……ありがとうございました」
「……お礼を言われることなんて、何もしてないよ」
次に一条さんが私に近寄り、思いがけないことにぎゅっと抱きしめてきた。
「い、一条さん!?」
「……僕、実は君の事好きだったんだよ。今だから言えることだけど」
「え……? ええ?」
「ふふっ。枢に泣かされたら迷わず僕のとこにおいで」
「一条」
「はいはい……」
一条さんは私を離して、枢と距離を取る。この二人も相変わらずだ。