• テキストサイズ

Bloody Signal

第15章 forever 枢√



「もしも僕が君を傷つける日が来たとしても、君はどうする?」

「……枢。人もヴァンパイアも、等しく誰かを傷つけずに愛することなんて出来ないんですよ」

「……。そうかも、しれないね」


 月が消える。朝が来る。眩しくて気だるい朝が。


 枢の手を握り締めて、互いに指を絡めて存在を確かめ合う。




 朝靄の中で、もう一度誓うようにキスをした。









 遠ざかる明日、続いていく今日。私は小さく息をする、手にした大きな鞄を掴み上げて空を仰いだ。ああ、太陽って本当に眩しい。目が眩む……けれどこの先に待つ何かを考えてみれば、なんでもいいのかもしれない。

 うん、いいお天気。


 この黒主学園敷地の入口、正門まで鞄を持って歩いていくと見慣れた顔ぶれが私を出迎える。優姫、零、一条さん、理事長、そして……私のたった一人、愛しい人。


「遅いぞ! 珠紀」

「優姫達が早いだけだもん」

「もう、こんな時にお寝坊さんかな? こちょこちょ」

「……っ! や、やめてっ!!」

「おいこら優姫、珠紀。その辺にしておけ、玖蘭がこっち見てるぞ」

「うっ……すみません、枢先輩」

「私は悪くないよ……?」

「珠紀」


 枢の真剣な声にびくっと肩が震えた。もしかして怒ってる? ちょっとだけ寝過ごしてしまったことを、彼は怒っているのだろうか?

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp