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Bloody Signal

第15章 forever 枢√



 世界から切り離されたような気がして、怖くて逃げ続けていた。何もかも仕方ないのだと、どうしようもないのだと。無力な自分を知って零を助けることも出来ず、やっぱり逃げて。

 こんな世界の果てで、枢……貴方が私に光をくれた。


 過去を忘れた私には、全てが大きくて直視するにはしんどい世界だった。枢と出会って、優姫を大事にする貴方を知って、そんな貴方に私は目が逸らせなくなって。


「貴方のことが、私は大好きなんです」


 好きになっていた。深く、深く、沈み込んで。


「……珠紀、おいで」


 彼が両手を広げる。私は迷わず彼の腕の中へと飛び込んだ。もしも彼が私を傷つけても、それでもいい……神様、お願いします。

 この人の隣に、どうかいさせて下さい。


「珠紀、好きだよ。僕は君を……心から愛している」


 狂おしい世界の中で、私はこの身を受け入れていく。

 枢は私の頬を包み込み、瞳を重ねる。


「珠紀、僕と一緒に……永遠を生きる?」


 彼が私から小瓶を抜き取る。ああ、きっとこの液体の正体でさえも、彼は知っているのかもしれない……。


「私は枢と、一緒に生きていきたいです」

「……ありがとう、珠紀」


 枢が小瓶を蓋を開ける。自らの口に含んだかと思えば、私へと口付ける。彼に与えられるように、口の中に鉄の味がしてくる。それを私は迷わず飲み干した。

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