• テキストサイズ

Bloody Signal

第15章 forever 枢√



『それは私の血。貴方の場合は変異型だから、レベルEに堕ちる心配はないけれど……もしこれから、あの男と共に生きる道を選ぶというなら……その血を呑めばいい。そうすればもう永遠に人間ではなくなる。血は変異を迎え、やがて私と同じ純血種となる』

『え? でも純血種って……人間の血が一切混ざっていないヴァンパイアのことでは?』

『言ったでしょ、貴方は変異型。その心臓に聞いてみればいい』


 暗闇を照らす、小さな光が差し込む。眩しくて……目が眩みそう。


『迎えが来たみたいね、さあ行きなさい。珠紀……人もヴァンパイアも奪うこと奪われることに変わりはない。けれど……人間は与えることの大切さを、知っているのでしょう?』

『沙耶……お姉さん?』


 光が全てを包み込む。消え行く意識の中で、沙耶お姉さんが小さく私に囁いた気がした。その声は、願いにも似ていて……私の心の中に融けて消えていく。


 ――珠紀。ちゃんと立ち向かうことも、貴方のこれからの使命よ。それが共に生きるということなのだから……。



 生きていくこと。誰かと生を共にする事。私にそんなこと、本当に出来るのかな?

 手の中にある小瓶をぎゅっと握りしめる。


 誰かと一緒に生きていくことなんて、きっと今の私には壮大過ぎて……まだよくわからないのだけど。それでも、もし彼が……枢がそれを望んでくれるのなら。










 瞼を開ける、光が灯る。これは夢じゃない、さっきいたはずの闇の底は消えていた。それと同時に、月の光で照らされた見慣れた顔が私を覗き込んでいた。


「……枢?」

「よかった、起きた」


 ほっと胸を撫で下ろした様子で、私の頭を枢は撫でた。彼の香りに包まれた部屋……どうやら私は、またしても彼のベッドで眠っていたらしい。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp