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Bloody Signal

第15章 forever 枢√



『私、死んだはずだったんです』


 そう思っていた。冷たくなる身体を抱いて、私は両親と共に死んでしまうのだと。けれど私が目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。


『絶望した? 死んでいなくて』

『そうかもしれませんね。でも、目が覚めた私は何も覚えていませんでした。だから絶望することも、両親がいなくて悲しむことも出来ませんでした。寂しさだけが募って、私の傍にいてくれた優姫と零の存在だけがただ暖かくて』

『……ヴァンパイアになってしまったと知って、どう思った?』

『素直に嫌だと思いました。でも……枢が、傍にいてくれたから……一緒に背負うと言ってくれたから。なら受け入れてみようと思いました、頑張って……みようと』

『わからないわね、どうしてそう思えるのか』


 不思議そうに私を見つめる彼女が、なんだか私に何かの答えを求めているように見えて、ちょっとだけおかしくなった。


『私のせいで貴方は両親も人間であることも失った。生かされているだけの自分、繰り返す睡眠障害。まぁ、主に睡眠障害を引き起こしているのは私のせいだけど』

『え……? そうなんですか?』

『ええ、そうよ。ヴァンパイアとしての本能を抑え込む制御装置みたいなものだったのよ』

『そうだったんですか……』

『ヴァンパイアの本能にある程度目覚めた今、人間としての貴方とヴァンパイアとしての貴方の均衡は崩れ始めているわ』


 それは悪い事なのだろうか? 彼女は私に小さな小瓶を差し出す。中には赤い液体が入っている。もしかして、これって……。

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