• テキストサイズ

Bloody Signal

第14章 birdcage 枢√



「珠紀は……沙耶さんのこと、覚えてる?」

「……え?」

「知ってるんでしょ? 沙耶さんのこと」

「どうしてまりあが、それを知ってるの……?」


 まりあはにんまりと笑みを浮かべた。


「だって私……沙耶さんと知り合いだったもの。厳密にはあっちの私が……なのだけどね」

「あっちの、まりあ?」

「……別に貴方に隠すことでもないから教えてしまうけど。この身体は借り物なの。本当の私の身体は別にある……」


 まりあが私に手を伸ばす。急にどっと、恐怖が押し寄せた。まりあの瞳が冷たく赤く光っていたからかもしれない。


「人間のままの貴方でもよかったけど、今の貴方の方が好都合かもしれないわね。本来の力の半分は受け継いでいるみたいだから……」


 逃げなきゃ。そう思うのに……身体が上手く動かせない!


「逃がさないわよ? やっと見つけた……私の獲物なのだから」


 まりあが私の肩をしっかりと掴む。本能で思う、このままでは血を吸われてしまう……と。でも動けないのなら、どうしろっていうのだろう?


 冷たい空気が頬を撫でる、目の前のヴァンパイアを怖いと思う。



 あれ……前にも同じこと、なかったっけ?

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp