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Bloody Signal

第14章 birdcage 枢√



「珠紀! ねぇ、待って頂戴」

「まりあ……? あれ、まりあの部屋も一階?」

「そうよ。貴方とは少し反対側になるけれど……ねぇ、これから暇? 少し私とお話しない?」

「構わないけど……」

「なら決まりね。こっち」

「え!?」


 まりあにぐっと手を掴まれ、ずんずん廊下を歩いていく。私の部屋は、風のように通り過ぎていく。これから何処に向かうのだろう? 一応目的地を尋ねてみると「私の部屋」とすぐに答えが返ってくる。

 まりあの部屋か……。どんな感じなんだろう? といっても寮だからある程度間取りは変わらないだろうけど。




 何処か異質な空気を纏う廊下を歩きながら、ようやく目的地へと辿り着く。


「遠慮しないで入ってね、珠紀」

「……お邪魔します」


 招かれて、おずおずと私は彼女の部屋へとお邪魔する。思っていた以上に室内はシンプルで、女の子なのだから乙女な小物でも置いているのかと思えばそうではなかった。優姫の部屋は意外とファンシーに溢れていたんだけど。同室の子が可哀想なほどに。


「シンプルだなって思った?」

「うん……わりと。少し意外だった」

「ふふ、珠紀は正直者ね。でもそれじゃあ駄目よ? 狼に食い潰されてからじゃ遅いもの」


 どかっとまりあは部屋にあったソファーに座る。


「こっちに来なさいよ珠紀。私の隣」

「……座ってもいいの?」

「どうぞ? 遠慮しないでって言ったでしょ」

「……じゃあ」


 気が引ける思いを持ち合わせながらも、お言葉に甘えるように隣へと座る。もしかして、勢いだけで着いてきちゃったかな? 私。

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