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Bloody Signal

第14章 birdcage 枢√



「珠紀ちゃん、どう? 夜間部の教室は」

「一条さん……はい、大丈夫だと思います。授業も面白そうな内容をやっているんですね」


 ただ少し私には理解できない要素が多いけど。その思いが顔に出ていたのか、一条さんはくすっと笑った。


「わからないことがあったら言ってね。すぐに教えてあげるから」

「はい、その時は宜しくお願いします」

「こらこら、わからないことがあれば一条じゃなくて僕を頼りなさい」

「わあ、枢が僕に嫉妬してる!」

「一条……」

「はいはい、ごめんって」


 このやり取りも、寮の外でも健在なのだから驚き。でもそのお陰で身体を締め付けていた緊張が少しほぐれた。少し周りからは嫌な感じの視線を頂いてしまうけど、最初だけだって思っていたい。

 これから私は……夜を生きるのだから。



 そういえば、夜間部に入ってからというもの、ナルコレプシーになる間隔が減っている気がする。何処か前より頭もすっきりしている気がするし……どうして?

 授業が終われば、特に部活のない夜間部はすぐに寮へと帰宅する。ここは普通科と違うところかもしれない。枢と一条さん、それから千里に囲まれながら寮へと帰る。他の人達と仲良くなるのは時間がかかりそうだけど、頑張らなくちゃ。


 月の寮についたらすぐに、枢が「珠紀」と私を呼ぶ。


「なんですか? 枢」

「僕は少しこれから用事がある。君は真っ直ぐ、自分の部屋に戻るんだ。いいね?」

「わかり……ました」


 他の人達とはまず部屋の階が違う為、すぐにわかれる、一人自室への廊下を歩いていると、不意に私の足音に重なる様にもう一つやってくる。その後すぐに、私を呼ぶ別の声が聞こえてきた。

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