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Bloody Signal

第14章 birdcage 枢√



「さあ、行くよ珠紀。君の初登校なのだから」


 枢が手を差し出す。きっといつもの私なら迷っていたかもしれないけど、今日の私は迷いなく彼の手を取った。

 寮を出て門の前へとやってくる。普段なら、この門の外で私は枢を待っているんだ。でも今日からは違う、こちら側の生徒として優姫達を見るんだ。


「珠紀、怖いのかい?」

「え? どうしてですか? 私……そんな顔、してましたか?」


 自分では意識していなかったつもりなんだけど、どうやら酷い顔をしていたらしい。枢が「まぁね」と呟いた。


「大丈夫、どんな珠紀でもいつでも胸を張っていればいいんだよ。それ以上に大切なことはまずない」

「枢はいつも堂々としていて、凄いって思うんです。私もそうなれたらいいのになって……」

「珠紀は珠紀のままでいいでしょ? 僕は今の君が一番気に入ってるんだから」

「……そうですか」


 なんだろう、少しだけ照れた。照れてしまって素っ気ない返事しか出来なかった。もう少し素直になれたらいいんだけど……。うん、たぶん無理だ。

 手を伸ばせばすぐ触れられる距離にいる。ああ、これ以上なんて望んじゃいけないのに……もっともっと枢のことが知りたくて、近付きたくて堪らなく思う。

 やっぱりこれは、いけないことかな……。


 門が開く。見慣れた黒い制服が目に入り、その中に勿論優姫がいる。自然のつい、零の姿を探してしまう。あ、いた……よかった。元気そう。

 零と目が合うと、彼は一瞬驚いた表情を見せてすぐ険しい顔へと変わった。あれ? もしかして……怒って……こっち来た!

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