第14章 birdcage 枢√
「珠紀、あの子にはあまり深入りしない方がいい。とても嫌な予感がする」
「まりあのことですか? ちょっと変わっていますけど、平気ですよ」
「……どうかな」
枢が言うほど悪い人だとはあまり思わないけど……少し、引っかかる人だとは思った。
引っ越しを終えた私達は、登校の時間まで有意義な時を過ごした。
新しい部屋で制服に袖を通す。鏡の前にいる自分を見つめながら、複雑な心境が交差する。白い制服を着る日が来るなんて、夢にも思わなかったのに。
突如、扉をノックする音が聞こえてくる。
「はい、どちら様ですか?」
「私よ珠紀。まりあよ」
つい数時間前、枢に忠告を受けたところだったけど……ちょっとくらいならいいよね? 私は軽く返事を返して部屋の扉を開けた。
「まりあ、どうしたの?」
「今日から貴方も登校でしょ? 一緒に行きましょう。同じ転入生なんだから」
「確かにそれもそうだね……じゃあ、行こうか?」
枢が迎えに来るって話は特になかったし、私はまりあと一緒に登校することに。夕陽が沈むのと同時に登校だなんて、不思議な気分。寮のエントランスホールに着けば、既に夜間部の生徒達が量を出ようとしている頃だった。
勿論生徒達の中心には、枢。あ、こっち向いた。
「彼女と一緒だったのかい? 珠紀」
「あ、はい。折角同じ転入生ですし……」
「今日だけだよ。次からはちゃんと、僕の言いつけを守る様に」
「はい……」
どうしてそこまで彼女のことを警戒するのかな? まりあへと視線を向ければ、目が合うと何処か影を持ちながらにっこりと微笑まれる。うーん、普通に見えるんだけど……。