• テキストサイズ

Bloody Signal

第13章 appeal 枢√



「まさかとは思うが、お前……"ヴァンパイア"にでもなったんじゃないだろうな?」

「……っ!」

「……。おい、冗談はやめろよ……珠紀っ!」


 痛いくらい、零の手が私の両肩に食い込む。そうだよね……嫌、だよね。

 彼は……理由は知らないけれど、酷くヴァンパイアを嫌っている。それなのに、私がヴァンパイアでしたなんて……。


「ごめん。ごめん……なさい」

「なんで、なんで謝るんだよ……」

「私……もう、私は……」

「……どうして、お前が……ヴァンパイアなんかに」


 絶望に似た声が聞こえた。謝ることしか、思いつかなかった。


「ごめんなさい。私も……自分がどうしてこうなってしまったのか、まだちゃんと理解できてないの。ごめんね」


 そんな顔をさせてごめん、苦しませてごめん。


「本当に……ごめん、なさいっ!」

「……! 珠紀っ!!」


 零の手を振り払って、私は彼から離れるように走り去る。一緒にいるだけで傷つけてしまうくらいなら、私を見る度にあんなに悲しい顔をしてしまうくらいなら……もう二度と、彼の前には現れない方がいいんだ。

 だんだん走っていくと、自分が今何処にいるのかさえ曖昧になっていく。もういいの、何処にだって……行けばいいんだ、私なんて。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp