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Bloody Signal

第13章 appeal 枢√



「あの……?」

「ああ、本当に来てくれたんだ。ありがとう。私、今日付けでこの黒主学園に編入してきたの。紅まりあ、宜しくね。貴方も夜間部の人でいいのよね?」

「あ、はい。私は時東珠紀。私の方こそ……宜しく」

「ふぅん? 随分人間臭い人なのね、まぁいいわ。この部屋って何処にあるのかしら?」



 差し出されたメモは、理事長が書いたと思われる寮への手書き地図。これなら辛うじてわかる……かも。


「こっちになります。一階なのですぐですよ」

「他の生徒達は?」

「今の時間なら、まだ校舎の方で授業を受けてる頃だと思います」

「そう……」

「紅さんは今日授業は受けるんですか?」

「ううん。今日は部屋で一通り片付けを済ませて、明日から登校する予定よ」

「そうなんだ。片付け、手伝いましょうか?」

「結構よ」


 ちょっぴり冷たい感じかも……明日からってことは、私と同じなんだ。


「私も明日から学校なんです」

「貴方も編入生?」

「はい、そうなんです」

「ふぅん……あ、まりあでいいわよ。堅苦しいのって嫌いだから! 仲良くしましょうね、珠紀」

「えっと……うん」


 なんとも反応に困る。

 部屋まで案内すると、あっさり部屋に閉じこもってしまってどうやら私の役目は終わったらしい。仕方なく気分転換で外まで出てみる。


 ――月が凄く綺麗。いつもより、そう思える。


 これからの私のこと……何処まで考えたらいいんだろう?

 小さな中庭まで出て来ると、何故か一条さんが本を読んでいた。

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