第11章 裏切り
「文芸部へようこそ! まあ座って」
鈴木くんが上機嫌で部室の扉を開ける。
真司が座る。わたしも隣に座る。鈴木くんは真司の向かいに座る。
「現在、文芸部は2年生が2人、1年生が4人で活動している。2年生は僕も副部長も男子だけど、1年生には女子もいるよ。なんと半数が女子だ!」
鈴木くんが得意げに真司に話す。
「興味ない」
真司が吐き捨てる。
「鈴原さんはどう? かわいい後輩に興味はないかい? 2人とも素直で愉快な女の子たちだよ」
「そうなんだ」
私はとりあえず無難に返事する。
正直、私は心が動く。
私は中学のときはずっとバスケ部にいたわけで、そういう先輩後輩みたいな関係嫌いじゃない。
ふと横を見る。
真司がシラけた目で私を見ている。
私は昨日の
「裏切っちゃ駄目だよ」
という言葉を思い出す。
裏切るっていうことはどういうことを指すんだろうか。
浮気、とかいうことなら絶対しないし、したくもないけど…
友達作ったり、部活に入ることも含まれてるのかな…。
バタンッ
扉が開く音がする、と同時に
「おはようございまーす!
わぁっ! 新しい先輩、もう来たんですか? さすが部長!」
「わー本当だー! ミステリアスなイケメンキター!」
よくしゃべる女の子が2人、勢いよく入ってきた。
ミステリアスなイケメン? 真司のこと?
真司を見てみる。
顔を赤くしてうつむいてる。
ウケる!