第11章 裏切り
放課後。
教室を出ると、廊下の壁にもたれて真司が立ってた。
「え? 真司…何か用? ていうか、もしかして待っててくれた?」
「うん。変な虫が寄って来ないように」
え、なんかちょっと嬉しい。
機嫌悪そうではあるけど。
これが話しかけるなオーラか。
「あ、鈴原さん、藍田!」
B組の教室から鈴木くんが出てきて、こっちに駆け寄ってきた。
「帰ろう」
真司が私の腕を引っ張る。
「ちょ、ちょっと待って、藍田」
そう呼びかけながら、鈴木くんが私たちの前に立つ。
「鈴原さんから聞いてくれただろ? 僕は、君たちに文芸部の紹介をしたくて…」
「部活動なんてしない。僕たちに構わないでくれるかな」
真司が答える。
なんか、通りすぎる私のクラスの人にチラチラ見られてる気がする。
クラスで友達いなくて、全然しゃべらない私が男子2人と一緒で、しかも真司は私の腕を握ったまま。
割と興味深いかもしれない。
私はちょっとうつむく。
「立ち話もなんだし、とりあえず部室に来ないかい? 人目もあるし…ね、鈴原さん?」
鈴木くんが私に振る。
「う、うん」
私は思わず頷く。
この人、無神経そうに見えて洞察力あるな。
やっぱり小説とか書いてるからかな?
真司が気まずそうに、私の腕をパッと離す。
「図書室の近くだよ。君たちも図書室はよく利用するだろ?」
鈴木くんは歩き出す。
真司は、やれやれと言った感じで私の顔を見てから、鈴木くんの後ろについて歩き始めた。
私も一緒についてく。
やんわりと自分の思い通りに持っていくこの感じ。
似てるな
と思った。