第11章 裏切り
「この子たちがさっき話した1年の女子」
鈴木くんが私たちに説明する。
「よろしくお願いしまーす」
と2人は私たちに挨拶する。
「ていうか、女の先輩とか超嬉しいんですけど!
先輩はどんな本が好きなんですか?」
後輩たちが私に質問する。
「わたし? えっと…『鬼平犯科帳』…」
あっ! とっさに本当のことを答えてしまった。
『赤毛のアン』とか言えばよかったかなぁ…。
「マジですかー! 私も池波正太郎、超好きです! どちらかといえば『剣客商売』のほうが好きですが」
「もちろん『剣客商売』も好きだよ」
「ですよね! 女子なら全員、大治郎様好きですよね」
「だね!」
女子3人で盛り上がる。
男子部員も、こちらは比較的静かにやって来て、私たちに挨拶する。
真司は多少ふてくされた感じではあるけど、鈴木くんや他の男子部員とぽつぽつ会話しているようだった。
……
30分ほどおしゃべりした後、真司にうながされて帰宅することにした。
「また、いつでも遊びに来てくれ。文芸部の扉はいつでも開かれているよ」
と鈴木くんは言った。
「はいはい」
と真司は返事した。