第11章 裏切り
休み時間、私はいつものように一人で本を読む。
でも活字が全然入ってこない。
頭の中で、どうしても別のことを考えてしまう。
真司のことを少しわかった気になっていたけど、やっぱり全然わからない。
多分、考えても絶対わからない。
でも考えちゃう。あーあ。
ふと視線を感じて、廊下の方を見る。
文芸部部長の鈴木くんが、こっちを見て手を振ってた。
無視したいけど…。
私は立ち上がって、彼のとこへ行く。
「あの…文芸部のことなら、直接藍田くんに話して。
わたし、藍田くん以外の男子と話したくないの」
鈴木くんにハッキリ告げる。
「えー…。なんか藍田、今日はいつにもまして話しかけるなオーラ出てたよ…」
私もそれ出してるつもりなんですけど。
廊下でしばらく話してると、隣の教室、B組から真司が出てきた。
真司がチラッとこっちを見た。
あっ、見られた!
「真司…藍田くん!」
私は声をかける。
真司は私を無視して、反対側に歩いていった…。
怒ってる…?
「なんか…ごめん?」
鈴木くんが気まずそうに謝る。
「別に…」
私はとりあえず答えて、自分の教室の自分の席に戻った。
すぐにメッセで言い訳する。
『文芸部のことでまた話しかけられた。ところで、今日もお家に遊びに行っていいのかな?』
時間をあけて昼休みに返事がくる。
『おいで』
ひとこと。
まあ、無視されなくてよかった。