第10章 嫉妬
真司の部屋に行った私は、鈴木くんのことを話す。
「私は作文とか苦手だから、藍田くんを誘えばって言ったんだけど、
藍田は話しかけにくいから、君から聞いてみてくれないか、だって」
「同じクラスの僕じゃなくて、違うクラスのみなみから誘うなんて…彼、何か君に別の感情があるんじゃないかい?
だいたい僕と付き合っているって気付いたなら、生徒手帳だって僕に渡せばよかったんだ」
真司が不機嫌そうにつぶやく。
「ヤキモチやいてるの?」
私は彼の顔をのぞき込む。
「そうだよ。悪い?」
彼が唇をとがらせる。
「かわいい!」
私は彼にぎゅっと抱きつく。
「じゃあさー、明日学校に行ったら鈴木くんに、俺の女に気やすく話しかけるんじゃねー、って言うといいよ」
「そんなこと言わない」
彼が吐き捨てる。冗談通じないなぁ。
「ていうかさ、真司、文芸部入れば?」
「は?」
「どうせ小説書いてるんなら部活でやればいいんじゃないの? 友達出来るかもよ? わたし入ろうかな…」
「みなみは小説なんて書かないだろ…? というより国語自体苦手だろ?」
「んー…真司に教えてもらって、だいぶ出来るようになったし…
鈴木くんて面白そうな人だよ。あの人が部長ならきっと面白い部活…」
「僕はそんなことのために勉強を教えたんじゃない!」
彼が私の言葉をさえぎって声を荒らげる。
私はちょっとぼうぜんとする。
この話、そんなに嫌だったの?