第10章 嫉妬
放課後。
いつものように、帰る前にB組の教室をのぞいて見る。
あ
生徒手帳を拾ってくれた彼と目が合う。
彼がこっちに駆け寄ってくる。
「藍田探してるの? 藍田…藍田…あれ? いない?」
彼がキョロキョロする。
「あ、先に帰ったんじゃないかな…。いつもそうだから」
「え? 一緒に帰らないの?」
「うん…」
話せば長い? から頷いておこう。
「ところで…君たち、本好きだよね?」
「え? あ、うん」
「A組の教室で君を探したとき、すぐわかった。本を読む姿が藍田に似てたから」
「へ? あ、そうなんだ…」
まあ…真司の真似して読み始めたからそうなのかな。
「君、部活は?」
ぼんやり考えてると質問される。
ていうかこの人、おとなしそうなのによくしゃべるな…。
「帰宅部」
私は答える。
「それはよかった」
はぁ?
「君たち、文芸部に入らないかい? 僕は文芸部の部長なんだ。
鈴木直人。以後、お見知り置きを」