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新しい世界

第10章 嫉妬


休み時間、いつものように私は一人で本を読んでいた。

ふと、横に誰かが立ち止まる。

男子…。何か配布物かな?

私は顔を上げる。首をかしげる。

誰だっけ?

しゃべらないけど、クラスの人の顔ぐらいは知ってるつもりなんだけど…。

「鈴原さん?」

彼は私の顔を、確認するようにじっと見る。

「そうだけど?」

私がそう答えると、彼は安心したように微笑む。

そして、何か差し出す。

生徒手帳…?

「これ、君のだろ? 図書室に落ちてたよ」

私はそれを受け取って、中の名前を確認する。

鈴原 みなみ

「ありがとう。あの…うちのクラスの人じゃないよね?」

一応、確認する。

「俺? B組。藍田と同じクラス」

そう言って、彼は意味ありげに微笑む。

「あ…見た?」

私は後ろのページを開く。

真司と2人で撮ったプリクラが貼ってある。

「ごめん。名前確認しようとしたとき見えちゃって」

「別にいいよ。わざわざ持ってきてくれてありがとう」

私は改めてお礼を言う。

「どういたしまして。それじゃ」

そう答えて、彼は去っていった。

あ…名前とか聞けばよかったかな。

まあ、いいや。

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