第9章 大人
結局、朝から一回やっちゃった。
もう朝ご飯よりも昼ご飯に近いかな。
私は一人、コンビニでおにぎりを選ぶ。
コンビニから出た瞬間、
「みなみ? 久しぶり!」
すれ違った女の子が肩をトントン叩く。
顔を上げると、中学の時の同級生がニコニコしてた。
「え? あ…優子? 久しぶり〜」
「わー。なんかみなみ変わった? 大人っぽくなったぁ」
え? そりゃやっぱり…朝からやってきたから?
「えー。ちょっ、マジでー? 大人っぽい? いやー照れるぅ」
「あ、しゃべると全然変わんないね。そのまま」
優子がケラケラ笑う。
そうですか。
…
「ただいまー」
自分の部屋に戻って、真司に声をかける。
自分の部屋で「ただいま」って言うなんて不思議な感じ。
「おかえり。みなみ、迷子になってるのかと思った」
ちゃんと服を着た真司が迎えてくれる。
「ごめんごめん。コンビニで友達に会って、ちょっと立ち話しちゃった」
「友達…?」
彼がいじってたスマホから顔を上げて、私を見る。
「女の子だよっ。ヤキモチ焼いた?」
私は彼の顔を覗き込んで、頬をぷにっとする。
「あ…いや、みなみ、友達いるんだね。ちょっと安心した…」
彼がちょっと優しく笑う。
「ふふ。中学の時の友達。全然、連絡とかしてなかったんだけどね。会ったらなんか中学の時のノリのままだった。そんなもんなのかなー」
「そうなんだ。うらやましいな」
「下でお茶飲もうか。コーヒーにする?」
「うん。ありがとう」