第7章 恋
夕方、早めにファミレスに行って夕食を食べる。
帰りにコンビニに寄って、お菓子とかジュースを買う。
真司がコンビニ袋を持ってくれる。
私はその隣を歩く。
「なんか楽しいね」
スキップしそう。
「そうだねぇ」
彼は頷く。
「新婚さんみたい?」
「ぷっ」
彼が鼻で笑う。
「さすがに無理あるんじゃ? せいぜい大学生の同棲カップルって感じ?」
「うわぁリアル」
「はしゃいでるねぇ」
彼は、私の様子を眺めて冷静ぶる。
真司だってはしゃいでるくせに。
わたし、わかるもん。
…
「ねぇ、暗くなってきたね」
私は部屋の窓から、夕空を眺める。
「今日は日が暮れても一緒にいれるんだね」
真司がひさびさにロマンチックなことを言ってくれる。
私は彼の肩に頭を乗せて甘える。
「みなみ…。みなみは夕暮れの空は好き?」
彼が窓の外の空を眺めたまま、私に問いかける。
「んー…好きかな。綺麗だし。真司は?」
「うん…。多分、好きだけど…ときどき涙が出そうになるんだ」
私は思わず、彼の横顔を盗み見る。
弱音みたいなことを、彼が口にするのはめずらしい。
上手く盗み見たつもりだったけど、すぐバレて、彼がこちらを向く。
私は彼に教えてあげる。
「それは、恋だよ」
彼はふふっと微笑む。
「なるほど」