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第一話 シェアハウスの恋人

第7章 バイト〜藤ヶ谷編


バチン!
「イテッ!」
頬と脳天に走る衝撃ではっきりした視界に映ったのは見知った渉ではなく、顔を真っ赤にした女の子がそこにいた。
「おいおい、太輔。。。いくらなんでもイキナリは…」
後ろを振り返るとすっかり呆れ顔の渉が炊飯器の白米を茶碗によそっていた。
「この子、今日から住み込みのキーパーさん。ミツ兄から聞いてるでしょ?」
視線を元に戻すと、バツの悪そうな顔をした彼女が申し訳無さそうにこちらの様子を伺っている。
「あ、あのゴメンなさい!急だったからびっくりしちゃって…マイコって言います。よろしくお願いします!」
「ふーん、急だったからね。じゃ、急じゃなかったら大丈夫だよね?」
「え?」
「ギュッてしまーす!」言葉を発するとほぼ同時に太輔は正面からマイコに抱きつく。
「きゃー!!!!」
次の瞬間、俺の視界はまたホワイトアウトした。


「じゃ、来期のコンセプトはそんな感じか。おいガヤ、イメージで出来るか?」
ホワイトアウトした記憶からイマに戻る。
「あ、はい。大丈夫です。やれます。」


ホワイトアウトした理由はマイコから突き飛ばされたのと、いつのまにかキッチンにいたミツ兄に引っ張られたのがほぼ同時でタイミング悪く後ろに
倒れて脳しんとうを起こしたからだ。
太輔がリビングのソファで目を覚ました時は既に夕方になっていた。
てか、救急車呼べよ…。


不意に個室の扉が開くと、そこには出会った初日に自分を突き飛ばした本人が料理を運んできた。
みんなと会話を継続しながら、チラりと彼女を盗み見る。
「玉森」と言うワードに微かに反応しているのを見逃さない。

「失礼しましたー」とマイコが出て行ってからも五男坊の話は続いていった。
「あー、あいつ彼女いないっスけど、暫くはムリっすよ」
「え〜、なんで?!」
「あいつ業界入りたての時に、付き合ってた彼女居たんですけど無理矢理別れさせたれたりしてて、大人達に。結構その辺トラウマになってんスよ」
「あれ?吾郎そんな事するか?」
木村さんから間髪入れずにギモンがあがる。
「最初は吾郎さんのところじゃなかったんですよ、あいつ。その彼女との事がきっかけでモメて、前の事務所辞めて吾郎さんに拾って貰ったんですよ。」
「ふ〜ん、結構センシティブなのねぇ」
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