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第一話 シェアハウスの恋人

第7章 バイト〜藤ヶ谷編


行き先を告げると、太輔は深くシートに寄りかかりながら沈み込み、ふうっと一息吐き出す。また少し重力が重くなった。
ありがたい事に仕事は忙しく、充実している。
憧れて入った世界にやりがいと手応えを感じつつも、人間というのは欲張りなもので、全て投げ出して遠くへ行ってしまいたい衝動に駆られてしまう。
ま、思うだけだけどね。
スマフォを取り出し、今朝来たLINEの画像を開く。
そこにはシェアハウスの恋人の飾らない姿があった。
クスッと太輔は目を細める。
シートに深く沈めた身体が少し軽くなった気がした。

バタン。
太輔は支払いを済ませ、タクシーを降りるとすぐに声をかけられた。
「ガヤくぅーん!」
ちっ、この声はあのスタイリストさんか…メンドイなぁ。。。しかめた顔を笑顔に直してから振り返る。
「あ、ドモ。お店分かります?」
「ちょうど迷っててぇー良かったー会えて♡」
いちいち語尾がまだるっこしいなぁ。。。まぁ、顔は綺麗だしスタイルもいいし、いい匂いするし、遊ぶ分にはね…。
店に向かう道中、相手に話しをテキトーに合わせながら太輔は相手を吟味する。
…んー、でも今は遊ぶ気にもなんねぇってのが本音かな。。。
そんな結論に至ったところで店に着いた。
自らの手が届く前に開いた扉の向こうに、最近の太輔がおイタを控えている理由があった。
かわいいかわいい、みんなのコイビト。
「いらっしゃいませー」

マイコと初めて会ったのは今から大体半年前。
いつものように、飲み屋でテキトーに声をかけたおネェさんの家から朝方家に帰宅した太輔は、みそ汁の匂いに釣られてキッチンへ直行。
窓の配置の関係で、朝日直刺しのキッチンは寝ていない眼には強烈で、ほとんど視界がホワイトアウトしていたが、飯作り=渉、の数式(?)で、人の気配を感じると迷うこと来なく後ろからハグした。
「ただいまー♡今日もお前のみそ汁が飲めてシアワセだよー」…あれ、なんか柔らかい。。。
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