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第一話 シェアハウスの恋人

第7章 バイト〜藤ヶ谷編


夕焼けも終盤、空の色が水色とオレンジの見事な反対色に暮れる頃に海岸沿いの倉庫に向かって太輔は歩いていた。
褐色に色づく両手は荷物で塞がれている。
片方はイロトリドリのシャツやボトムを後ろ手に肩から下げ、もう片方はアクセサリーや小物が入ったバックを持っている。

今日は倉庫内にあるフォトスタジオで新作のカタログの撮影準備がなされている。
使用する衣装を搬入して、今日のところは終了である。
これは久しぶりに早く帰れそうだなー♪なんて思いながらスタジオ入りし、衣装をハンガーラックにかけ始めたところで携帯から着信音が響く。
うーん、このストーンズの着信音、、、木村さんからだな…イヤな予感。。。

「はい、藤ヶ谷です。」
「あー、ガヤ?これから会食ね。中居んトコ。」
「…木村さん。。。」
「ん?なに?」
「や、なんでも無いっす…」
「今日はこの後の展開も含めて、モデルちゃん達も来るから。今のうちに顔売っとけって。」

ま、いいか。
この時間に帰っても、多分家には誰もいないだろうし。

「すみませーん、社長から呼び出しなんでこのまま俺出ますねー」
「おう、ガヤくんまた明日ね!」
残って作業のあるスタッフさん達に声をかけてから、スタジオを後にした。

建物を出るともうすっかり暗い。
都心ではあるものの、駅からも距離のある場所に位置するため人もほとんど歩いておらず街灯も極めて少ない。
磯の香りがする方向に目をやると、海の上で螺旋に延びた光の橋の先には煌びやかな夜景が広がっていた。

数メートル歩き、かなり車通りの激しい国道に出てから右手をあげる。
闇に浮き出る「空車」の文字が太輔の前で停まった。
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