第5章 お届けもの〜北山サイド
しかもーーー。
「ひょうはまたふいぶんほまたへかいな(今日はまた随分とデカいな)モグモグ」
くっそ、この靴履かせたのぜってぇ、お前だろ!玉!
睨んだ先には不敵な笑みで今にもVサインを出さんばかりの五男坊がいた。見せつけてるつもりか?
おい玉、自分がもっと大人になるまで外野からガミガミ言われるようなコトは起したくないって言ってなかったけ?
もう二度と、自分も相手も傷つかないように、って。
そんな事を考えながら、フロアの掃除や器具の調整をしていると、レンタルウエアに着替えたマイコがキョロキョロしてるのを見つけた。
「おーい、マイコ」
ミツに気づくと、途端に安心した顔になりパタパタと小走りに近づいて来る。
見えないハズのシッポが振られているようで可愛い。
はっ!可愛いとか、違っ!ほら、ニカだって犬みたいにシッポ振って可愛いし、それと一緒だ。うん、一緒一緒。
そう自分に言い聞かせる。
「とりあえず軽くストレッチだな」
変な事を考えてしまったせいか、マイコの顔を見れず、視界を反らす為に体のパーツに重点をおいた物言いになってしまう。
こいつ典型的な運動不足だな…
やっているうちについつい熱が入り、気がつけば僧帽筋、ハムストリング、広背筋と至るところに手を伸ばしていた。
はッ!俺全部筋肉でもの見てたけど、肩とか、腿とか、腰とか触りまくってんじゃん!や、違うぞ、これは指導だ!うん。
「お前筋肉少ねぇなー」
そう、俺は筋肉を触っているんだ!
が、上腕二頭筋に触れた時、その柔らかさに思わず声が出てしまった。
「…………柔いな」
「あのー…、いくらなんでも掴み過ぎじゃない?」
「ハッ!気持ちよくてつい。。。」
バチン!
…香取チーフ、あざっす。
あのカットインがなかったら、自分マジあの後どうしていいか分かんなかったっス。
気持ちよくて、とかマジやべぇっての。どの口がいうかね。。。。
グローブを装着する玉を待ちながら、リング上で自分を宥め、集中力を高めていく。
相手は素人だ。トレーナーの自分がしっかりリードしないとグダグダになってしまう。