第3章 お届けもの①
「ミツ兄、なんだってー?」
「忘れ物したから届けてほしいんだってー」
「ふーん」
ダメもとで言ってみるか。
「ね、玉ちゃん、行ってくれないかな?私、おそうじ…」
「やだ」
ぐ、喰い気味で拒否かよ。思わず顔がひきつる。
「マイコと一緒なら行く」
や、ですからね、私すぐ出られない…というか出たら家事が、、、むぐぐ
そんな心境を察してか、はたまた彼の作戦なのか。
「だから、家事は二人で分担すればいいでしょー。俺にやって欲しいこと言ってよ。」
「…じゃ、洗濯物干して下さい。」
実を言うと、いつもこんな感じで理由をつけて誰か何かしら手伝ってくれる。
最初のうちは、みんながあまりにも色々と気遣ってやってくれるので自分の仕事が無くなってしまった。
仕事が無いのに居させてもらう訳にはいかないと思い、ミツ兄に退去の相談したところどうやらミツ兄からやり過ぎ禁止令がでたらしい。
それからと言うもの、何かと理由を付けてみんな私がやっている事のお手伝いと言う形で助けてくれている。
玉ちゃんの協力のもと、なんとかやるべき事を終わらせた。
「じゃ、支度してくるねー」
「あ、マイコ!今日はこないだ太兄からサンプルで貰ったワインレッドのワンピを着なさい」
「あー、あれね。」
「靴下はアレで、ピアスはアレね!あ、カーディガンはアレ!」
「…なんで私のワードローブ把握してんスか。。。」
「ふふ、モデル舐めんな!」
言われた通りのコーデで部屋を出ると、黒ベースにシンプルコーデでまとめた彼が既に玄関に待機していた。
指し色にワインレッドのストールがなんともお洒落。
「靴はコレね♪」
マイコが持っている中では高めのヒールのローファーが用意されていた。
長身のマイコがこれを履くと、大抵の男子を見下ろす形になる。
このシェアハウスでも勝てるのは、このモデルの三男坊だけ。
「俺と居る時にはコレ履けるよね」
と言いながら黒縁の伊達メガネをかける。
お洒落はアイウェアから…否、最近は街で声をかけられる事も多くなってきたのでちょっとした変装だ。