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第一話 シェアハウスの恋人

第3章 お届けもの①


半年前、マイコは初めてこの家の門をくぐった。
男7人の住むシェアハウスの住み込みハウスキーパーとして。

「家政婦としてなんでもやるっていうよりは、掃除と洗濯がメインで。ぶっちゃけ料理は得意なヤツがいるんで。」
そんな言葉を発する家主の後ろは、確かに男所帯特有の散らかりっぷりだった。

春が過ぎ、夏が終わり、秋を迎える今も、その言葉の通りマイコの主な仕事は掃除と洗濯。
脳みそが筋肉化しているミツ兄と一緒に家計簿付けや、単位の危ういニカちゃんの家庭教師という仕事もあるが、全体を通してそこまでキツくはない。
諸事情により住む家を追われ、寝床を転々としていたマイコには、屋根があって雨風しのげるだけでも御の字であったし、なにより同居人みんなが
必要以上にマイコの事を気遣ってくれる。

五男の玉ちゃんと至福の朝食を終え、後ろ髪引かれつつ重い腰をあげる。
仕事、仕事。
料理人の三男わっくんは料理は作ってくれるが、後片付けはしない。
もちろん、自分より先に出掛けて行った全員分、そのままである。
「ごちそうさまでしたー」

腕まくりをして皿洗いを開始しようとすると、テーブルに置いてあった携帯が鳴る。
画面を見ると、ちょっと悪そうな齧歯類に似た笑顔の写真が
ーミツ兄からの着信だった。

「あ、マイコ?まだ家?あのさ、今日スパーリングの予約あったの忘れてて、マウスピース持ってこなかったんだよね…ー」
「…ーうん、わかった。それまでに届けるねー」
「わりぃ。頼むわ」

さて、ミツ兄に忘れ物お届けのタイムリミットを考えると、ぐっとやる事がタイトになって来たぞ。
壁にかかった時計を眺める。
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