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第一話 シェアハウスの恋人

第3章 お届けもの①


彼とは同じ大学で専攻も同じ。
なので校内で一緒になることは多いのだけれど、横に居られる事はない。
最近は特に、テレビにも出るようになり露出が増えたせいか、大人達からキツく言われているらしい。
スキャンダルハゲンキンデス
シェアハウスとはいえ、一つ屋根の下に住んでいることは内緒なのだ。
今でこそこんなに懐いてくれてはいるものの、半年前はかなり警戒されていた。意外にも彼は人見知りだったりする。
以前から同じ講義などで顔と名前は知ってはいるものの、接点もないのに急に校内で一緒にいるのはおかしい、という事で
「外では話しかけないでもらえるかな」と彼から突き放されていたのが、今もそのまま継続している。


家の鍵をかけて、外へ出る。
真横には並べない。彼の少し後ろを歩く。
手を伸ばして触れられるか、触れられないかという距離を保つ。
よく見るな、この背中。
あなたから一緒に出掛けようって言ったのに、なんかちょっと寂しい。
あなた越しにみえる澄んだ秋の空に枯れた雲がうかんでいる。春、夏とあっと言う間に過ぎていってしまった。
これからもっと空が低くなり、冬を迎える。
当たり前だけど、また春も夏も巡っていく。
その巡っていく季節の中で、いつかあなたの横顔越しに空を眺め、季節を感じる時がくるのでしょうか?

そんな事を考えながら歩いていると、ふっと彼がこちらを振り向く。
何を言うでもなく、彼が笑む。
コレが世に言う見返り美人か。
江戸時代の菱川画伯作の国宝を軽く凌駕する、平成の傑作が今わたしの網膜で完成された。
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