第2章 練習試合をします。
場所は変わって体育館の裏。傍目から見たら告白シーンなんだけど私達の間には逆に嫌になる程の重圧感が主に及川さんから出ている。
「…そのキーホルダーを返して頂けませんか?」
「あぁ、良いよ?」
やけにあっさりした返答だ。てっきり粘って聞き出すのかと思った。けど、及川さんが動く気配が無い。返して頂けるのでは?と改めて聞いたら
「勿論返すよ…君が来てくれたらね?」
見せびらかす様にキーホルダーを弄んで楽しげに笑う。あ、やっぱり通常運転だわこれ。岩泉さん来て私の代わりに起き上がれない程度で沈めて下さい、アイス奢りますから。しかし、祈っても誰も来ないので溜め息を零して及川さんに近寄り、キーホルダーを渡される。
「君の名前は?」
「ナンパですか?及川さん」
「そうだね、あの時忘れもしない光景を見てから…ずっと君を探してたよ。」
「篠田遊衣です。それにしても随分情熱家ですね、片思いで終りにして帰りませんか?私は騒がしい人が嫌いなんで」
「そりゃあ、熱心になるよ…あの日、遊衣ちゃんが公民館で忘れてたこのキーホルダーとあのノートを見るまでね」
「さぞ見苦しかったでしょうね」
「とんでもなかったよ。ろくに体も鍛えていないからたった素人連中は30分で隅で座り込んで…でも、君が監督をしている間は一度たりとも相手側に点数は入ってなかった。」
手が伸びる、私とは違う…バレーの為に鍛えられたであろう手は固く、大きい…そのまま頭を撫でられた。
「…始めは君が俺の嫌いなあの天才肌で生意気な後輩に見えて仕方がなかったけど、遊衣ちゃんが烏野でマネージャーしてるのを見て安心した。やっぱり君は天才じゃなくて…異才だね。」
「」
とっさに何かを言いかけて、結局言い返せない。
「あの生意気な後輩のいるバレー部は君の才能にいつか必ず気づいて付きまとうだろうね。俺の時みたいに…だからさ…遊衣ちゃん、青葉に来てよ。もう、一人になるのは嫌でしょ?」
「…及川さんが何を見たのかは知りませんけど、私は烏野のバレーが好きです。約束もしましたし…マネージャーとして彼等を支えます」
頭から手が離れる。及川さんは振られちゃったなんて残念がってる。
「もし辛くて泣いちゃう時には、及川さんが慰めてあげるからメルアド教えること!」
本当にぶれないなぁ、この人は…。
