第3章 守護神とエースの復活
エースの力強いスパイクが相手側3人のガードとコートを突き破る。…旭先輩が帰ってきた。
あれから宣言通り彼らを待つ私に先輩達は何も言わない。ただ昼休みヘタレ先輩の居る教室に入って説得する菅原先輩が移動教室の時に見掛けて、その後体育館に現れたヘタレ先輩と話す澤村先輩に武田先生が鵜飼コーチを説得して断られる姿を見ても淡々とマネージャー業務に勤しむ。月島君はあれだけ恨み言を話していて何もしないんですねって山口君が止めるくらいには嫌味たらしく声を出してたみたい。そんな山口君に練習再開だよ、と力先輩が連れて行く。私と月島君を交互に見ては心配そうに振り返る彼に言われ慣れてるから平気と手を振れば安心して練習に戻った。さて、少しだけ月島君と話そうか。
「…月島君、例えばスランプの時に何とかなるよ!頑張ろうってサーブすらした事ない人に言われて動ける?身の回りの片付けとか整理しかしない…心から信頼してない人に心が動く?」
「動きませんね、邪魔なだけです。」
「…でしょう?それにね、私…旭、いえヘタレ先輩が羨ましい。」
「言い直す必要ありました?それに羨ましいって意味がわからない…篠田先輩って何考えてるんです?」
「言葉の通り。私は謎だらけだから口は堅いぞ?絶対潔子さんのスリーサイズ知っているけど答えない!」
「…はぁ、別に知らなくて良いですし貴方が何も話さないならこの話は終わりですよ。」
「あれ?萎えちやったか?因みに盗み聞きした2年2人は賞味期限ギリギリの草餅!中身はババロアって怒んないで月島君ってば待って待って!」
無言で歩く月島君にからかい過ぎたかと反省して、とっておきの私の情報あげると耳元で呟く。
「………。ふふ、興味あるかな?」
「…っ⁈」
そうだね、君は余計にこんな事話せば食いつく。
そんな余裕は気に食わないのだろう。目を細めて忌々しい者を見る様に私を見る彼に…私は何処までも笑顔だ。
「…篠田先輩って本当に変わり者ですね。」
「自分でもそう思うよ。…でも、皆んなのバレーを手伝うのは苦にならないなぁ。」
月島君はしばらくして埒があかないと判断したのか、
その化けの皮が剥がれる日を楽しみにしてますとだけ伝えて練習に戻る。私の皮が剥がれる?…そんな日は来ない。きっと私は醜い自分を殺してまた綺麗に皮を被ってすぐ笑っているから。
今までも…これからも。
