第8章 誕生日 11/8ver.《降旗光樹》
そして迎えた誕生日当日。
今年は土曜日だったから、午後練が終わった後俺は真由美の家へ向かった。
「お疲れ様!それと改めて誕生日おめでとう!!」
「へへっ、サンキュ!」
0時ピッタリに電話を掛けてきてくれたんだけど、直接言ってもらえるのはやっぱり嬉しいな。
「どうぞ」と用意されたスリッパを履いて、何度か来たことのある彼女の家の中へと進む。
好きな女の子の家は何度来ても緊張するのは俺だけかな?
真由美の案内でまずダイニングに通されると、すごく食欲のそそられる匂いがあたりに充満していた。
彼女に椅子に座るよう促され大人しく座って待っていると、キッチンの方で何かをレンジでチンしているのが見えた。
「はい、召し上がれ!」
「わぁ… オムライスじゃん!」
「光樹が前に好きって言ってたから作ってみたんだー♪ で、昨日から練習してて1番上手く出来たのを冷蔵庫に入れてたの!だから、出来たてじゃないけど……」
「いやいや、マジで嬉しい!!」
「ふふっ、召し上がれ!」
「いただきます!!」
部活の後で腹が減ってたのもあるけど、彼女が俺の為に昨日から練習してくれたっていうのが嬉し過ぎて、俺は勢い良くオムライスをかきこんだ。
卵が少し焦げてて味が薄めのオムライスは、今まで食べたオムライスの中で1番美味しく感じた。