第8章 誕生日 11/8ver.《降旗光樹》
(本当にバスケ辞めなくて良かった)
今でも、昨日のことのように思い出せるWCでの試合の数々。
俺にとって初めての大舞台が海常との準決勝。
それだけでも荷が重いのに、マッチアップの相手は笠松さんという全国でも屈指のPGなんだから俺の緊張はピークだった。
でも、最初はガチガチだった俺も“1人で戦ってるんじゃない、俺には頼もしい仲間がいる”と思うと落ち着いて自分のプレーをすることが出来た、シュートを決めることが出来た。
チームの力になれたんだって嬉しかった。
それから決勝の洛山戦。
マッチアップの赤司は想像を絶する威圧感で、そのプレッシャーからか俺はすぐにヘタッてしまった。
めちゃくちゃ悔しかった、赤司と俺は同じ1年なのにって。
だけど俺が試合に出たことは無駄じゃないんだって思った。
周りに捨て駒と言われようが咬ませ犬と言われようが構わない。
それがチームの為になるなら。
誠凛は圧倒的な点差をつけられても最後まで決して諦めることなくチーム一丸となって戦い、見事優勝することが出来た。
あのときの喜びは今でも忘れられない。
皆で泣いて抱き合って喜んだ。
WC優勝、つまり全国で1番。
“あの子”が言ってた“何かの1番”になれたんだ。