第7章 誕生日 11/2ver.《灰崎祥吾》
「アンタを祝う奴なんて、アタシぐらいしかいないでしょ?」
「……ワリーけど、俺は女にゃ困ってねーの」
「あっそ…」
さっきまでの威勢はどこへやら。
急にしおらしくなるコイツに、思わずククッと喉を鳴らした。
「けど、もうお前以外とヤる気無くなったわ」
「っ……、何それ」
「だから、責任取れよ?」
「……アンタ何様?」
「ふーん。じゃあ、責任取ってくんねーの?真由美チャンよォ」
「……、……取る」
「ぷっ…、可愛い奴」
側に立っていた真由美を抱き寄せ、堪らずその唇へキスを落とす。
そういや初めてキスすんな、とか今となってはどうでもいいことが頭に過った。
ゆっくりと唇を離すと、今までに見たことのない真由美の照れているような幸せそうな顔。
その瞳に俺が映っていて、一瞬俺も同じような顔してるように見えたのは気のせいのハズだ。
(誕生日、か……)
今まで特別だと感じたことなかった、11月2日。
(悪くねェな……)
もう1度真由美の体を抱き締めながら、初めてそう思った。
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