第7章 誕生日 11/2ver.《灰崎祥吾》
「あとデザートにケーキもあるから」
「あん?ケーキィ?いらねー」
女子じゃねーんだからデザートなんかいるかよ。
つーか、俺はお前の作った唐揚げモドキのせいで腹いっぱいなんだっつーの。
「……ダメ。これでお祝いするんだから」
「お祝いだァ?何の」
「はぁ……。今日が何の日かほんとに分かんないの?」
冷蔵庫の前にいる真由美は振り返って呆れたと言わんばかりの顔を俺に向けてくる。
そして、ケーキが入っているだろう箱を持ってきて俺の目の前に置いた。
その箱を開けると、中から出て来たのは〝Happy Birthday ショーゴ君〟と書かれたプレートが乗せられたワンホールのチョコレートケーキだった。
「誕生日おめでとう、ショーゴ!!」
「……。」
たった今まで、今日が自分の誕生日であることなんか忘れてた。
毎年そんな祝われる訳でもねーし、俺にとっちゃ誕生日なんかただの平日や休日と変わんねェ。
「お前が今日変だったのって…」
「っ…!そーだよ!悪い?!」
見る見るうちに顔が真っ赤になっていく真由美。
じゃあ、コイツが今日珍しく会いたいって言ってきたのも、料理を作ってたのも、全部俺を祝う為かよ。
(んだよ、コイツ……。可愛いトコあんじゃねーか)