第5章 誕生日 10/30ver.《氷室辰也》
「んっ……」
「おはよう、真由美」
「えっ……?キャーーーッ!!!」
翌日の朝、俺の腕枕でスヤスヤと寝ていた真由美が目を覚ましたので普通に挨拶をすると、鼓膜が破れそうなほどの悲鳴をお見舞いされた。
「ひ、ひ、ひむ、ひむ、ひむろ君…っ」
「そうだよ?」
「っ……、そ、そっか私達昨日……っ!」
そこまで言って、ボンッと音がしそうなくらい顔を真っ赤にさせる真由美が可愛くてついクスッと笑ってしまう。
「俺達が昨日何をシたか思い出した…?」
彼女を逃がさないようにガッシリと抱き締めて耳元で囁く。
「っ……!ひ、氷室君って彼女じゃない女の子にもこういうことするの……?」
「!!」
真由美の思いがけない言葉に驚いていると、俺はある重大なことを忘れていたことを思い出した。
「……俺は真由美に彼女になってほしいんだけど」
「……っ」
「真由美、好きだよ……」
「順番逆だよ……、氷室君のバカ」
拗ねたように頬を膨らまして俺を睨む真由美。
そんなところも可愛い。
どうやら俺は自分の想いを伝え忘れるぐらい、真由美が俺の家に来てくれたことが嬉しくて舞い上がっていたらしい。
(頭はcool、心はhotだなんてよく言えたな……)
カッコ悪いからこのことは黙っておこう、と真由美の頭を撫でながら思った。
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