第5章 誕生日 10/30ver.《氷室辰也》
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「今度、改めてお祝いするね!」
俺の腕の中で微笑みながらそう言う彼女に、「もう充分祝ってもらったよ」と返す。
「昨日の真由美はとても可愛いかっ」
まで言ったところで、真由美の手が俺の口を塞いだ。
「そーゆー恥ずかしいこと言わないでっ」
さっきと同じように顔を真っ赤にさせる真由美。
「ごめん、ごめん。本当のことだからつい、ね?」
「〜〜っ!氷室君のバッ」
彼女の言葉を今度は俺が唇で塞いだ。
「これからは“辰也”って呼んで?」
「っ……、辰也のバカ」
ポカポカと俺の胸を軽く叩く真由美に自然と笑みが零れる。
「ほんと、今年は最高のプレゼントをもらったな」
「え、そんなに欲しい物もらえたの…?」
シュンと顔を俯かせる真由美の顎を親指と人差し指で掴み上へ向かせる。
「最高のプレゼントは君だよ、真由美」
「っ、……辰也のキザ野郎」
「酷いな……」
ハハハと苦笑しながら「本気でそう思ってるのに」と付け加えると、真由美は俺の胸に顔を埋めて小さな声で「バカッ」と呟いた。
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