第2章 災難《黄瀬涼太》
中居さんへ案内されながら、今日泊まることになる部屋へと向かう。
途中、相部屋の相手が男性だということを聞かされ、何であのとき詳細を聞かず了承してしまったんだと、自分を呪った。
せめてもの気遣いなのか衝立を用意してくれるらしく、寝食事は自分のタイミングで出来そうだけれど、やはり男性と同室というのは気まずい。
(え、嘘でしょ……?!)
中居さんと部屋の前で別れ、相手はどんな人なんだろう?とドキドキしながら扉を開けると、何とそこに居たのは今をときめく超人気モデルの黄瀬涼太だった。
「あー、君が今日俺と同室になる人?お互い災難っスね」
ハハハと苦笑する姿も無駄にカッコイイ彼は、紛れもなくあの“キセリョ”だ。
内心かなり動揺したが、とりあえず挨拶をしなければ。
「よ、よろしくお願いします……」
「何で敬語なんスか!そんな気遣わなくて大丈夫っスよ?」
そう優しく微笑む彼に、カッコ良くて性格も良い人って本当にいるんだ、と変に感心してしまった。