第5章 誕生日 10/30ver.《氷室辰也》
自宅のドアを開け中に入った瞬間、俺は彼女を抱き締めた。
「なっ!?あ、あの氷室君…っ?!」
「ずっとこうしたかった…」
「っ……!」
「俺の家に来てくれたってことは、俺と同じ気持ちだと思って良いの?」
「そ、れは……っ」
「悪い、もう待てない」
俺は彼女の顎をクイと上へ向かせると、自分の唇を彼女の唇に押し当てた。
何度か触れるだけのキスを落とし、彼女の感触を楽しむように唇を啄ばむ。
「ふっ、氷室く…んっ」
俺の名前を呼ぶ為に開かれた彼女の口内へ舌を割り込ませる。
逃げていた彼女の舌を捉えて絡ませ、唾液ごと吸い付けば、だんだんと彼女もそれに応えてくれるようになり、お互い夢中で貪った。
「んっ、はぁ…はぁ……、っ!?」
深いキスの余韻で肩で息をする彼女をヒョイと抱きかかえると、さっきと同じように目を見開かせた。
「ベッド、行こうか…」
「っ…、」
彼女の耳元でそう囁くとビクンと小さく震えて、潤んだ瞳を俺に向けてくる。
その表情は、俺が少し酔っているせいなのもあって更に欲情させた。