第5章 誕生日 10/30ver.《氷室辰也》
「ちょっとアンタら飲み過ぎ!!」
「仕方ないでしょ、氷室君はカッコイイんだから」
女の子達の牽制の言葉に、彼等は更に「畜生!辰也のイケメン!爆ぜろ!!」などと喚いていた。
何だかんだと盛り上がっている彼等を他所に、俺から少し離れた席に座っている相原真由美と目が合う。
ニコリと微笑むと、パッと逸らされてしまった。
(……。)
実は彼女は俺の片想いの相手。
俺達のサークルもたまに試合に参加するんだけど、真由美はいつも彼女達に連れられて応援に来てくれていた。
そのたまにしか会えない彼女と会うのが俺の楽しみになっていて、少しずつ会話を重ねるごとに俺はこの子のことが好きになっていたんだ。
だからチームメイトが俺の誕生日会を開くと知らせてくれたとき、急遽彼女も呼んでもらうよう頼んだ。
まだ会話は交わしていないけど、来てくれただけでも良しとしよう。
それから俺も何杯か酒を飲んだが、チームメイト達が主役の俺以上にベロンベロンになっているので、そろそろお開きということになった。