第4章 誕生日 10/23ver.《伊月俊》
それから俺達は普段会えない分を補うかのように、イチャイチャしながら過ごした。
イチャイチャといってもどちらかが抱き締めたり、触れるだけのキスをしたり、たまーに深いキスもしたり……。
高校生らしい可愛いげなスキンシップなのだけれど。
「ふっ…、んんっ……」
「……んっ」
だけど今日は、いつもより長く舌を絡めて真由美の口内を貪った。
「ふぁっ…、ん…、俊君…っ」
「真由美…っ」
キスの後の真由美の表情に、吐息に、くぐもる声に、心臓がドクンと鳴る。
(ヤバい…、このままだと押し倒しそうだ……)
付き合って、もうすぐ1年。
お互い初めての俺達はまだ体を重ねたことがない……。
そういう知識が無い訳じゃないし、何度も抱きたいと思ったけど、それ以上に真由美を大事にしたいっていう気持ちと、傷つける(女の子は最初痛いっていうし…)のが怖いっていう気持ちが大きくて、なかなか俺は先に進めないでいた。
そんなことを考えながら真由美の顔を見つめていると…
「俊君にもう1つもらってほしいものがあるの……」
「なに…?」
「私の“初めて”をもらってくれない…?」
「っ…!」
彼女の思いがけない発言に言葉が詰まる。