第4章 誕生日 10/23ver.《伊月俊》
それから他愛もない話を交わしてるうちに緊張も解れ、俺たちは楽しい時間を過ごしていた。
すると、真由美が急に立ち上がって部屋から一旦出て行き、少ししてから戻ってきた。
「ハイ!俊君!誕生日プレゼント!」
真由美は後ろ手で持っていた派手目な袋を俺に差し出す。
「プレゼントまで用意してたのか!?」
「当たり前じゃん!」
「…サンキュ。開けても良いか?」
「どうぞ♪」
俺は誕生日用のラッピングだろう袋を開けて、中身を取り出す。
それは俺にとってかなり身近な物達で…。
俺の好きなスポーツブランドのTシャツ、ハーフパンツ、タオル、という部活スタイルのフルセットだった。
「これ……っ」
「私ね、本当は寂しいときもあるんだ…。友達の彼氏との話を聞いてるときとか特に…」
「っ…」
「でも、私はバスケを頑張ってる俊君が好き!大好き!!好きな人の好きなことや頑張ってることは、応援したい!だから…、これからもバスケ一筋な俊君でいてね?」
「真由美……っ!」
優しく微笑む彼女を抱き寄せる。
真由美に寂しい思いをさせているのは分かっていた。
だけど、やっぱり俺はバスケが第一で…。
そんな俺を真由美は1度も咎めることなく、いつもいつも俺のことを想ってくれて支えてくれた。
こんな健気で可愛くて優しい子が彼女で、俺はなんて幸せ者なんだろうか、と本気で思う。
「本当にありがとう……っ」
「うん…っ。改めて、誕生日おめでとう。俊君」
俺たちは再度ぎゅうっと抱き締めあった後、何度も何度も触れるだけのキスをした。